献血

最近のこと、というとかなりたってしまっているが、こんなことがあった。


その日は、会社の健康診断があった。業界団体単位で結成されている健保組合による巡回検診である。
手の空いた人から行って来い、といわれたので、10:30分くらいに会社を出た。ちなみに、検診の会場は会社から徒歩20分ほどである。

どうでもいいことではあるが、10:30位に出かけたのには、ひそかな狙いがあった。往復で40分、診断で30分で、11:40分、昼休みまで20分しかないので、もう仕事にならないから、そのまま、会社には戻らずに昼休み、というタイムスケジュールを希望したのである。
ああっ、なんて不真面目なんだろうか、私ってば。もはや、ヒールであるにちがいない。

などということは置いておいて、会場に着いたので、検診を受けだした。

身長、前回より1センチ縮んだ。
体重、前回より5キロ減量。
視力、両眼ともに、-1。で、1.0。
聴力、問題なし。

などと、こなしていく。ベルトコンベアーな、健康診断。

そして、尿検査のサンプルを採った所で、献血にまわされた。

だが、献血の席(×1)の前には、何故か、長蛇の列ができていた。他の検査は同様に席は一つであってもガラガラに空いているのに、何故なのだろう、などと疑問。

でも、私は待つのには慣れているので、

「あれぇ?うまく刺さらないなあ・・・」
「早くしてくださいよ」

などという声が聞こえてきたが、気にせずに待つことにした。

そして、15分後、自分の番になった。

「え・・・と、Kさんですねぇ?じゃあ、どちらかの腕の袖をあげて、この台の上に乗せてくださいねlぇー。」

という、何だかまったりした白衣を着た女性、おそらく、20代前半、に言われたので、そうした。ちなみに、その白衣につけられたネームプレートには何かの冗談の様に「新人」等と書かれていたように思ったが、目に入らなかったことにした。

「それじゃあ、射しますねぇー」と何だか天然の記念物、例えるならば、オオサンショウウオのよう、な声とともに、何だか無造作に射された。

痛い。
奇妙に、すごく、痛い。
腕か、反射運動で、ビクン、と動く。
しかも、何故か、血が注射器に溜まっていっていない。
だが、動揺を顔に出しては、落ち着きのない人、更には、痛みを我慢できない幼い子みたい、だと思われてしまいそうなので、表情を変えずに、何だか変ですねえ、と白衣さんに言った。

「ええ、ヘンです。ああ・・・。どうも射す場所を間違えたようです。ごめんなさいね。てへ。」

白衣さんは、とても、愛嬌に満ちた声顔で、針を抜くと、別の注射器を手にとって、今度はやや慎重に射した。

今度は注射器に流れ込む血。
その様子が面白かったので、何となくじっと見ておくことにした。

1本目が終わり、2本目が射される。
コツをつかんだのか、今度は、白衣さんは、ミスらなかった。

やはり、血が流れ込んでいくのを見る。

我が血ながら、鮮やかな色じゃないなあ。赤というより紫だよなあ。そういえば、最近はずっとぶどうジュースを飲んでいる。あれはおいしいが、トマトジュースはおいしくない。ならば、血はトマトジュースではなく、ぶどうジュースで例えるべきなのであって、マンガの吸血鬼も、ぶどうジュースを飲むべきだ。

などと、つらつらと妄想していたら、白衣さんが話しかけてきた。

「ふふふ・・・。血を見るの、好きなんですか?」

聞かれた。
とりあえず、冗談で返しておくことにした。

「はい、好きなようです。」

「はあ、そうなんですかぁ。変わってますねえ。くすくす。」

そうして、2本目が終わったので、席を立って、問診、レントゲンに回され、検診は終わった。


ちなみに、次の日、検診で針を刺された所が、まるでアシナガバチに刺されたように腫れていた。何となく、メディカル・ホラーを連想したが、1週間ほどで、腫れはひいたので、大丈夫だった様ではあった。

この記事へのコメント

いななき
2006年10月30日 02:07
>今度は注射器に流れ込む血。
その様子が面白かったので、何となくじっと見ておくことにした。

やっぱり変わってるね、君。
K
2006年11月07日 19:12
私は、いたってノーマルですよ?

そこも、判り易い表現に直すとすれば、「生来心配性な私は、自分の血が抜き取られるのから、目を離せなかった」ということなのだから。

ほら、フツー、になった。
のり
2006年11月13日 23:31
恐ろしい体験でしたね。

いやいや、お疲れ様でした。
2006年11月19日 00:02
はい、リアルにメディカルホラーでした。
震える注射器というのは、楽しすぎるものでしたよ~。

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